会誌「自動車技術」は, 1947年(昭和22年)の8月に第1号が発行されました. この年の2月に自動車技術会が結成されたので, 結成から半年後に, 会誌第1号が世に送り出されたわけです. 以来, 70年の歳月を経て発行した総数は800号を超え, 掲載された記事の数は膨大なものになります.
とりわけ初期の頃の記事には, 日本の自動車技術の発展に尽力された技術者の方々の情熱が伝わってくるものが多く, こうした記事を創刊70年を機に今一度現代に蘇らせることは, とても価値のあることと考えました.
ここに掲載した記事は, 過去の膨大な数の記事から見るとほんの僅かですが, 日本の自動車産業発展のダイナミズムと技術の発展に尽くされた先達の心を感じ取っていただければ幸いです.
1947年に創立された自動車技術会は, 自動車を媒体として, 社会とともに歩んできました. 戦後の混乱期においては, 信頼性や性能といった自動車そのものの商品価値を向上させることが技術開発の主たる目標でありました. 自動車が社会に深く定着するにつれて, 社会資本の欠くべからざる要素として, あるいは文化の一端を担う媒体として, クルマが社会の中で果たすべき役割が多様化してきました. それに合わせて, 自動車技術の開発においても, 機械としてのクルマのみならず, 周辺の「環境」や「人」とのかかわりを深く意識せざるを得ない状況となっています. そのような時代と技術の変遷を今一度辿るために本サイトをご活用いただき, 社会と自動車の将来ビジョンを策定するための一助となれば幸いです.
会誌「自動車技術」編集委員会委員長 吉川暢宏(東京大学)